脚本家のテクニックを実際に見ることはあまり多くないことでしょう。
というのも脚本は、あまり世に出回らないからです。
では脚本家が用いるテクニックにはどんなものがあるのでしょうか。
よく使うテクニック
とてもおおざっぱに言うと、小説と大きく違いがあるわけではありません。
脚本はそれに対応するメディアによって利用するテクニックも変わります。
脚本は映画やアニメのみならず、テレビやラジオの番組も担当します。
さらにその中で脚本家個々人の手法の違いもあるので千差万別といっていいほどです。
その中でも共通して利用できるテクニックがあるとすれば、「場全体」を利用するテクニックでしょう。
映画やドラマ、アニメのような俳優(声優も含む)が演じるものの場合は、そのシーンの場面設定がそれにあたります。
典型的な例でいえば「回想」です。
回想といえば単なる過去を思い出す設定といえますが、現在のシーンでは2人が会話していて、それがきっかけで主人公がパーティの様子を思い出す、といったシーンの場合は、特に映画やドラマなどでは2人の会話シーンと、パーティでの大人数のシーンを撮影し分けないといけません。
またそのパーティのシーンが他の場面でも利用されるシーンならばいいのですが、その回想のみで挿入されるシーンならば、大人数の出演者の確保や撮影ロケーションの確保などにコストがかかってしまいます。
番組の予算によっては、こういったコストはカットしないといけないかもしれません。
その中でも古畑任三郎や刑事コロンボのような最初に犯人を示す倒叙ミステリーといわれるような形式は、こうした「場」を有効に利用したもののひとつです。
こうした「場」を利用し現在あたりまえのように使われているのが「場面転換」ですが、これを逆に利用すると、場面転換を一切行わずに番組を構成することができます。
場面転換を行わずに出演者が1つの舞台だけで即興演技をするテレビ番組などがそれにあたります。
こうした形で場を利用したテクニックは、のきなみどういった脚本でも利用することができます。
逆にあまり使わないテクニック
脚本は基本的に「指示をあたえる文章」です。
上では「小説と大きく違いがあるわけではない」と述べましたが、実のところは違います。
というのも小説は読者に感銘を与えたりするために描写を書き分けますが、脚本は指示書ですのでこれを読む俳優や裏方に感銘を与える必要がないからです。
逆に指示書ですので、演出に不必要な指示は避けるべきなのです。
まとめ
○脚本は指示書なので、演出に必要な描写を書く。
○どういった脚本でも場を利用した演出はのきなみ有効。
○脚本を小説のように書かない。
脚本家を目指す方には文章が好きで小説家から転向するという人も少なくありません。
しかし厳密には脚本は小説とは違うということは心得ておきましょう。